平成22年6月30日 企業会計基準委員会 |
改正実務対応報告第5号「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その1)」及び改正実務対応報告第7号「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その2)」の公表 |
企業会計基準委員会は、平成22年度税制改正における連結納税制度等の一部改正を受けて、これまで公表した連結納税制度に関する実務対応報告の見直しを検討しており、今般、標記の改正実務対応報告第5 号「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その1)」(以下「その1」という。)及び改正実務対応報告第7 号「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その2)」(以下「その2」という。また、その1 と合わせて「改正実務対応報告」という。)を公表しました。 (概要) ■特定連結欠損金制度創設に伴う改正 従来、連結納税制度の適用の開始又は連結納税への新規加入がなされる際には、連結納税移行前に連結納税子会社で発生した繰越欠損金は失効していたが、平成22年度税制改正により、所定の要件を満たす連結子法人(特定連結子法人)における個別繰越欠損金のうち所定の要件を満たすもの(特定連結欠損金)は、連結納税制度への移行後も引き続き損金算入できることになった。本報告は、繰延税金資産の回収可能性の判定についての基本的な考え方は従来どおりとしつつ、税制改正に伴う以下の事項等について明らかにしている。 ■連結欠損金に特定連結欠損金が含まれている場合の連結財務諸表における当該連結欠損金に係る繰延税金資産の回収可能性の判定(その1Q1及びQ4) 連結納税主体を一体として回収可能性を判断するが、その際には連結納税主体の連結所得見積額と各連結納税会社の個別所得見積額の両方を考慮する。 ■連結欠損金に特定連結欠損金が含まれている場合の個別財務諸表における当該連結欠損金に係る繰延税金資産の回収可能性の判定(その2Q1、Q2、Q3、設例2-2及び設例2-3) 連結納税主体の連結所得見積額及び各連結納税会社の個別所得見積額を考慮する。また、繰延税金資産の回収可能性の判断に際しての、各連結納税会社における回収可能見込額の合計額と連結納税主体における回収可能見込額とが相違する場合の取扱いについては、連結欠損金に係る繰延税金資産には適用せず、将来減算一時差異に係る繰延税金資産に関してのみ適用することを明らかにしている(その2Q4及び設例4)。 ■完全支配関係にある内国法人間の資産の譲渡損益の繰延に関する取扱いの改正(その1Q5) 従来、連結納税制度を適用している場合にのみ完全支配関係にある会社間の資産の譲渡による損益の繰延が求められていたが、平成22年度税制改正において、連結納税制度を適用していないが完全支配関係にある国内会社間の取引に対しても、同様の譲渡損益の繰延が求められることになったことに伴い、所要の改正を行っている。 ■事業年度の途中で完全支配関係が生じた場合の、連結納税への加入の効力発生日の特例制度の創設に伴う改正(その1Q9) 連結納税加入の効力発生日は、従来、その完全支配関係が生じた日(加入日)であったが、平成22年度税制改正において完全支配関係が生じた日後最初の月次決算日の翌日を効力発生日とすることが認められることとなったことに伴い、所要の改正を行っている。 ■連結納税制度の承認申請提出期限の短縮化に伴う改正(その1Q15) 従来、連結納税の承認申請書の提出期限は事業年度開始の日の6 か月前の日であったが、平成22年度税制改正において3 か月前の日に短縮され、関連して新設親法人の承認期限も短縮されたこと等に伴い、所要の改正を行っている。 ■実務対応報告第4 号の廃止(その1Q12-2及びQ16) 連結納税制度導入初年度における経過的な取扱いを示した実務対応報告第4号「連結納税制度を適用する場合の中間財務諸表等における当面の取扱い」を廃止し、併せてその1Q12-2 に、その一部の内容を四半期財務諸表における取扱いに置き直した形で引き継ぐ等の改正を行っている。 ■個別財務諸表における法人税額の取扱いの明確化(その1Q17) 平成22年度税制改正において完全支配関係のある内国法人間の寄付金取引は益金不算入及び損金不算入となったことに伴い、連結納税会社間で連結法人税の個別帰属額の金銭の授受が行われない場合でも、寄付金として課税されないこととなった。改正実務対応報告では、当該税制改正後も従来どおり各連結納税会社の連結法人税個別帰属額を「法人税、住民税及び事業税」に含めるとともに、連結納税子会社の連結法人税個別帰属額を連結納税親会社と連結納税子会社の間の未収入金(未払金)及び未払金(未収入金)として計上することとしている。 ■適用時期等 . 改正実務対応報告は、平成22年6月30日以後終了する事業年度末及び四半期会計期間末より適用する。ただし、平成22年6月30日より前に終了する事業年度末及び四半期会計期間末より適用することができる。 . 改正実務対応報告の適用は、会計方針の変更とは取り扱わない。 (詳細については、企業会計基準委員会ホームページをご覧ください。) |