平成22年6月30日

企業会計基準委員会

企業会計基準第25号「包括利益の表示に関する会計基準」及び関連する他の改正会計基準の公表

企業会計基準委員会では、会計基準の国際的なコンバージェンスの取組みの一環として、包括利益の表示に関する会計基準の設定について審議を重ね、今般、標記の「包括利益の表示に関する会計基準」(以下、「本会計基準」という。)及びこれに関連する企業会計基準第22 号「連結財務諸表に関する会計基準」(以下、「企業会計基準第22 号」という。)が公表されました。
なお、現在企業会計審議会で個別財務諸表に関する全般的な議論が行われています。委員会では、本会計基準の個別財務諸表への適用を求めるかどうかについては、当該審議の状況も踏まえて対応することとし、本会計基準の公表から1 年後を目途に判断することとしています。

(本会計基準の概要)
■ 目 的(第1項)
財務諸表における包括利益及びその他の包括利益の表示について定めることを目的とする。当期純利益を構成する項目及びその他の包括利益を構成する項目に関する認識及び測定については、他の会計基準の定めに従う。

■ 範 囲(第3項)

財務諸表(四半期財務諸表を含む。)における包括利益及びその他の包括利益の表示に適用する。

■ 用語の定義(第4項及び第5項)
「包括利益」とは、ある企業の特定期間の財務諸表において認識された純資産の変動額のうち、当該企業の純資産に対する持分所有者との直接的な取引によらない部分をいう。当該企業の純資産に対する持分所有者には、当該企業の株主のほか当該企業の発行する新株予約権の所有者が含まれ、連結財務諸表においては、当該企業の子会社の少数株主も含まれる。「その他の包括利益」とは、包括利益のうち当期純利益及び少数株主損益に含まれない部分をいう。

■ 包括利益の計算の表示(第6 項)
包括利益の計算の表示は、次による。
(1) 個別財務諸表においては、当期純利益にその他の包括利益の内訳項目を加減して包括利益を表示する。
(2) 連結財務諸表においては、少数株主損益調整前当期純利益にその他の包括利益の内訳項目を加減して包括利益を表示する。

■ その他の包括利益の内訳の開示(第7項から第10項)
その他の包括利益の内訳項目は、その内容に基づいて、その他有価証券評価差額金、繰延ヘッジ損益、為替換算調整勘定等に区分して表示する。持分法を適用する被投資会社のその他の包括利益に対する投資会社の持分相当額は、一括して区分表示する。その他の包括利益の内訳項目は、原則として税効果を控除した後の金額で表示し、各内訳項目別の税効果の金額を注記する。
当期純利益を構成する項目のうち、当期又は過去の期間にその他の包括利益に含まれていた部分は、組替調整額として、その他の包括利益の内訳項目ごとに注記する。
その他の包括利益の内訳項目に関する注記は、個別財務諸表(連結財務諸表を作成する場合に限る。)及び四半期財務諸表においては、省略することができる。

■ 包括利益を表示する計算書(第11 項)
包括利益を表示する計算書は、次のいずれかの形式による。
(1) 当期純利益を表示する損益計算書と、第6項に従って包括利益を表示する包括利益計算書からなる形式(2 計算書方式)
(2) 当期純利益の表示と、第6項に従った包括利益の表示を1つの計算書(「損益及び包括利益計算書」)で行う形式(1 計算書方式)

■ 適用時期等(第12項から第15項)
本会計基準は、連結財務諸表については、第8項及び第9項による注記を除き、平成23年3月31日以後終了する連結会計年度の年度末に係る連結財務諸表から適用する。ただし、平成22年9月30日以後に終了する連結会計年度の年度末に係る連結財務諸表から適用することができる。適用初年度においては、その直前の年度における包括利益(親会社株主に係る金額及び少数株主に係る金額の付記を含む。)及びその他の包括利益の内訳項目の金額を注記する。
第8項及び第9項による注記については、平成24年3月31日以後終了する連結会計年度の年度末に係る連結財務諸表から適用する。ただし、早期適用することもできる。適用初年度においては、その直前の年度における第8項及び第9項の注記は要しない。また、四半期財務諸表に最初に適用する連結会計年度においては、前連結会計年度の対応する四半期会計期間及び期首からの累計期間について、適用時期に応じて、本会計基準を遡及適用し財務諸表の組替えを行うか、又は遡及適用せずこれらの金額を注記する。

企業会計基準第22 号の改正の概要
企業会計基準第22号において、連結損益及び包括利益計算書又は連結包括利益計算書について必要な記述を追加するなど、所要の改正を行っている。


(詳細については、企業会計基準委員会ホームページをご覧ください。)