平成22年8月4日
金融庁

「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等の公表について

金融庁より「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」が公表されました。

本件は、企業会計基準委員会が公表した「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(平成21年12月4日)、「包括利益の表示に関する会計基準」(平成22年6月30日)及び企業会計審議会が公表した「監査基準の改訂に関する意見書」(平成22年3月26日)等を踏まえ、連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(以下「連結財務諸表規則」という。)、財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(以下「財務諸表等規則」という。)、企業内容等の開示に関する内閣府令(以下「開示府令」という。)及び財務諸表等の監査証明に関する内閣府令(以下「監査証明府令」という。)等並びにこれらのガイドラインについて所要の改正を行うものです。

1.主な改正の内容

(1)連結財務諸表規則及び財務諸表等規則等の改正

@「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」の公表を踏まえた改正
比較情報(当連結会計年度に係る連結財務諸表(連結附属明細表を除く。)に記載された事項に対応する前連結会計年度に係る事項)の規定を新設します。また、会計方針の変更等を行った場合の注記の規定を新設します(連結財務諸表規則第8条の3、第14条の2〜第14条の8。財務諸表等規則第6条、第8条の3〜第8条の3の7)。

(注)上記内容について、四半期連結財務諸表規則、四半期財務諸表等規則、中間連結財務諸表規則及び中間財務諸表等規則の改正は行っていません。今後、改正を行うこととします。

A「包括利益の表示に関する会計基準」の公表を踏まえた改正
連結損益計算書に加えて連結包括利益計算書を表示する形式(2計算書方式)及び当期純利益及び包括利益を1つの計算書(「連結損益及び包括利益計算書」)で表示する形式(1計算書方式)に関する規定を新設します(連結財務諸表規則第3章の2)(四半期連結財務諸表規則及び中間連結財務諸表規則においても同様)。

B様式の追加
上記Aの規定の新設を受け、連結包括利益計算書の様式を新設します。また、同規則ガイドラインにおいて、連結損益及び包括利益計算書の様式を新設します(四半期連結財務諸表規則及び中間連結財務諸表規則も同様)。

(注)上記@〜Bの内容に関連して連結財務諸表規則ガイドライン等の改正も行います。

(2)開示府令の改正

@上記(1)@の連結財務諸表規則等の改正に伴う改正
有価証券届出書(第二号様式)の「経理の状況」に記載する連結財務諸表は、連結財務諸表規則に定める様式により作成したものとすること等を記載上の注意において明確化します(有価証券報告書においても同様)。
(注)上記の内容に関連して企業内容等開示ガイドラインの改正も行います。

A上記(1)A及びBの連結財務諸表規則等の改正に伴う改正
有価証券届出書(第二号様式)の「経理の状況」における「連結損益計算書」の項目を「連結損益計算書及び連結包括利益計算書」又は「連結損益及び包括利益計算書」とするとともに、記載上の注意においても同様の改正を行います(その他の有価証券届出書、有価証券報告書、四半期報告書及び半期報告書においても同様)。

(3)監査証明府令の改正

@「監査基準の改訂に関する意見書」を踏まえた改正
国際監査基準の明瞭性プロジェクトによる改正に対応して監査基準が改正されたことを踏まえ、監査報告書の記載事項に係る規定を改正します(監査証明府令第4条)。

A前期の連結財務諸表等に係る監査証明についての規定の整理
「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」において、比較情報の考え方が取り入れられたこと及び「監査基準の改訂に関する意見書」において、監査意見では当期の財務諸表に対してのみ言及し、比較情報には明示的に言及しない方式が取られたことから、当期及び前期の財務諸表に対して監査証明を求めている規定を当期の財務諸表のみを対象とするよう改正します(監査証明府令第1条)。

(4)その他

@IFRS任意適用会社の範囲の拡大
IFRSを任意適用した上場会社の子会社の連結財務諸表にIFRSを任意適用できることとする規定を新設します(連結財務諸表規則第1条の2第2項)(四半期連結財務諸表規則及び中間連結財務諸表規則においても同様)。

A企業会計基準委員会の実務対応報告第26号「債券の保有目的区分の変更に関する当面の取扱い」(平成20年12月5日公表)が平成22年3月31日をもって廃止(平成22年3月17日公表)されたことを踏まえた連結財務諸表規則等の改正
流動性が極端に低下したことなどから、保有する債券を公正な評価額である時価で売却することが困難な期間が相当程度生じているような稀な場合において、売買目的有価証券からその他有価証券及び満期保有目的の債券への振替並びにその他有価証券から満期保有目的の債券への振替を認め、その場合に注記を求めていた上記実務対応報告第26号が廃止されたことを踏まえ、満期保有目的の債券の定義規定を改正し、また、当該注記の規定を削除します(連結財務諸表規則第15条の6第3・4項。財務諸表等規則第8条第21項、第8条の7第3・4項)(四半期連結財務諸表規則、四半期財務諸表規則、中間連結財務諸表規則及び中間財務諸表規則においても同様)。

また、満期保有目的の債券について財務諸表等規則と同様の定義規定を置いている無尽業法施行細則、銀行法施行規則その他計13の府省令においても定義規定等を改正します。

B監査証明府令における監査概要書の改正
監査の品質管理の観点から審査業務の重要性が高まっていることを踏まえ、監査概要書に記載が行われている監査時間に加え、審査時間を別掲記するために、監査概要書(第一号様式)を改正します(中間監査概要書及び四半期レビュー概要書についても同様)。

2.適用日

(1)上記1(1)@の改正
平成23年4月1日以後に開始する連結会計年度及び事業年度(以下「連結会計年度等」という。)に係る連結財務諸表及び財務諸表(以下「連結財務諸表等」という。)について適用することとします。

(2)上記1(1)A及びBの改正
@連結財務諸表に係るもの
平成23年3月31日以後に終了する連結会計年度に係る連結財務諸表から適用することとします。ただし、平成22年9月30日以後に終了する連結会計年度に係る連結財務諸表から適用することができることとします。
平成24年3月31日前に終了する連結会計年度において、最初に連結包括利益計算書又は連結損益及び包括利益計算書を作成する場合には、直前連結会計年度における包括利益金額(連結財務諸表提出会社の株主に係る金額及び少数株主に係る金額の記載を含む。)及びその他の包括利益の項目の金額を注記するものとします。
また、その他の包括利益の項目別の税効果の金額及び組替調整額の注記は、平成24年3月31日以後に終了する連結会計年度に係る連結財務諸表について適用することとします。ただし、平成22年9月30日以後に終了する連結会計年度に係る連結財務諸表から適用することができることとします。なお、平成25年3月31日前に終了する連結会計年度において、最初に当該注記の記載を行う場合には、直前連結会計年度に係るこれらの注記の記載を要しないこととします。

A中間連結財務諸表及び四半期連結財務諸表に係るもの
平成23年4月1日以後に開始する連結会計年度に属する四半期連結会計期間及び四半期連結累計期間(以下「四半期連結会計期間等」という。)並びに中間連結会計期間に係る四半期連結財務諸表及び中間連結財務諸表について適用することとします。ただし、平成22年10月1日以後に開始する四半期連結会計期間等及び中間連結会計期間に係る四半期連結財務諸表及び中間連結務諸表について適用することができることとします。
なお、直前四半期連結会計期間及び中間連結会計期間における包括利益金額及びその他の包括利益の項目の金額の注記並びにその他の包括利益の項目別の税効果の金額及び組替調整額の注記についても、連結財務諸表に係る注記の規定に対応して適用することとします。
(3)上記1(2)Aの改正
平成24年3月31日以後に終了する事業年度に係る有価証券報告書(当該事業年度の財務諸表を最近事業年度の財務諸表として記載すべき有価証券届出書を含む。)について適用することとします。

(4)上記1(2)@の改正
平成23年3月31日以後に終了する事業年度に係る有価証券報告書(当該事業年度の財務諸表を最近事業年度の財務諸表として記載すべき有価証券届出書を含む。以下同じ。)について適用することとします。ただし、平成22年9月30日以後に終了する事業年度に係る有価証券報告書から適用することができることとします。

また、平成23年4月1日以後に開始する事業年度に係る四半期報告書及び半期報告書について適用することとします。ただし、平成22年10月1日以後に開始する事業年度に係る四半期報告書及び半期報告書から適用することができることとします。

(5)上記1(3)の改正

平成24年3月31日以後に終了する連結会計年度等に係る連結財務諸表等の監査証明について適用することとします。

(6)上記1(4)@の改正

施行日以後に終了する連結会計年度に係る連結財務諸表から適用することとします。

(7)上記1(4)Aの改正

平成22年4月1日以後に開始する連結会計年度等に係る連結財務諸表等について適用することとします。

また、平成22年4月1日以後に開始する連結会計年度に属する四半期連結会計期間等、事業年度に属する四半期会計期間及び四半期累計期間(以下「四半期会計期間等」という。)、中間連結会計期間並びに中間会計期間に係る四半期連結財務諸表、四半期財務諸表、中間連結財務諸表及び中間財務諸表について適用することとします。

(8)上記1(4)Bの改正

平成23年3月31日以後に終了する連結会計年度等に係る連結財務諸表等の監査証明について適用することとします。ただし、施行日以後に終了する連結会計年度等に係る連結財務諸表等の監査証明について適用することができることとします。

また、平成23年4月1日以後に開始する連結会計年度に属する四半期連結会計期間等、事業年度に属する四半期会計期間等、中間連結会計期間及び中間会計期間に係る四半期連結財務諸表、四半期財務諸表、中間連結財務諸表及び中間財務諸表の監査証明について適用することとします。ただし、施行日以後に開始する四半期連結会計期間等、四半期会計期間等、中間連結会計期間及び中間会計期間に係る四半期連結財務諸表、四半期財務諸表、中間連結財務諸表及び中間財務諸表の監査証明について適用することができることとします。

意見の締め切りは、平成22年9月3日(金)17:00(必着)までです。

(詳細は、金融庁ホームページ(PDF)をご覧ください。)