平成22年9月3日

企業会計基準委員会

企業会計基準公開草案第44 号(企業会計基準第22 号の改正案)
「連結財務諸表に関する会計基準(案)」等の公表



企業会計基準委員会は、連結財務諸表における特別目的会社の取扱い等に関する論点について検討を重ね、以下の会計基準等を改正する公開草案(以下「本公開草案」という。)を公表しました。
・ 企業会計基準公開草案第44 号(企業会計基準第22 号の改正案)「連結財務諸表に関する会計基準(案)」(以下「会計基準案第44 号」という。)
・ 企業会計基準適用指針公開草案第39 号(企業会計基準適用指針第15 号の改正案)「一定の特別目的会社に係る開示に関する適用指針(案)」(以下「適用指針案第39 号」という。)
・ 企業会計基準適用指針公開草案第40 号(企業会計基準適用指針第22 号の改正案)「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針(案)」(以下「適用指針案第40 号」という。)
・ 実務対応報告公開草案第35 号(実務対応報告第20 号の改正案)「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い(案)」(以下「実務対応報告案第35 号」という。)

本公開草案に関するコメントの期限は、平成22年11月4日となっています。

(本公開草案の概要)

目的及び経緯

平成10 年10 月に企業会計審議会から公表された「連結財務諸表制度における子会社及び関連会社の範囲の見直しに係る具体的な取扱い」(以下「子会社等の範囲の見直しに係る具体的な取扱い」)三では、一定の要件を満たす特別目的会社を子会社に該当しないものと推定する取扱いが定められている。連結財務諸表における特別目的会社の取扱いについては、子会社等の範囲の見直しに係る具体的な取扱い 三の設定当初に比べ、特別目的会社を利用した取引が拡大するとともに複雑化・多様化していることから、企業集団の状況に関する利害関係者の判断を誤らせるおそれがあるのではないかなどの指摘を背景に、平成19 年3 月に、企業会計基準適用指針第15 号「一定の特別目的会社に係る開示に関する適用指針」を公表している。その後、「東京合意」を踏まえ、国際的な会計基準とのコンバージェンスの検討を進めてきたが、IASB の連結プロジェクトに関する作業計画が当初の予定よりも延期されたことを契機に、短期的に一部の特別目的会社の取扱いを改善することとした。本公開草案は、それらの検討の結果として、子会社等の範囲の見直しに係る具体的な取扱い 三の取扱いを一部見直すための所要の改正を行うこととしたものである。なお、委員会では、今回の改正とは別に、IASB において開発中の連結基準とのコンバージェンスを、引き続き検討していく予定としている。

子会社等の範囲の見直しに係る具体的な取扱い 三の改正(会計基準案第44 号第7-2 項)
子会社等の範囲の見直しに係る具体的な取扱い 三では、一定の要件を満たす特別目的会社については、当該特別目的会社に対する出資者及び当該特別目的会社に資産を譲渡した会社の子会社に該当しないものと推定するとされている。本公開草案では、当該取扱いを会計基準案第XX 号の中で定めることとし、また、当該取扱いは資産の譲渡者のみに適用されることとし、出資者に関する記述を一部削除することとしている。

開示(会計基準案第44 号第43 項)
連結の範囲に含めた特別目的会社に関して、当該特別目的会社の資産及び当該資産から生ずる収益のみを裏付けとし、他の資産等へ遡及しない債務(ノンリコース債務)については、その金額を注記する。なお、当該注記に代えて、連結貸借対照表上、他の項目と区別して記載することもできる。ノンリコース債務に対応する資産については、担保資産の注記に準じて注記する。

経過措置(会計基準案第44 号第44-4 項(3)及び(4))
適用初年度における経過的な取扱いとして、適用により新たに連結に含められる子会社については、適用初年度の期首において当該子会社の資産及び負債のすべてを連結財務諸表上の適正な帳簿価額(過年度から適用されていたのであれば、当該子会社を連結に含めていたとして算定される金額)により評価し、当該子会社に対する投資との差額を利益剰余金(少数株主に帰属する部分は少数株主持分)に直接加減する。ただし、適用初年度の期首において、子会社の資産及び負債のすべてを時価により評価し、当該子会社に対する投資との差額を利益剰余金(少数株主に帰属する部分は少数株主持分)に直接加減することができる。

適用時期(会計基準案第44 号第44-4 項(1)及び(2))
平成24 年4 月1 日以後開始する連結会計年度の期首から適用する。なお、平成24 年4月1 日前に開始する連結会計年度の期首から適用することができる。..

連結の範囲に含まれる企業の明確化(実務対応報告案第35 号Q1 のA3)
商法上の匿名組合出資について、営業者及び匿名組合が、いずれも匿名組合員の子会社に該当する場合において、当該匿名組合の事業を含む営業者の損益のほとんどすべてが匿名組合員に帰属するようなときは、営業者ではなく匿名組合自体を連結の範囲に含めることが適当である。


(詳細は企業会計基準委員会ホームページをご覧ください。)